――― 眸をつむる。
途端に周縁まわりからの色んな音が、
いっぱいいっぱい ボクの中へとなだれ込んでくる。
何の機械のか、ヴーンと稼働している小さな音。
アナログ時計の秒針の音。
遠いところからの車の走行音とか、
笑い声と一緒くたになって不意に駆け込んで来るのは、
小学生のばたばたアスファルトを叩くような足音の群れ。
お隣りさんかな、テレビからの笑い声も。
ああでも、すぐにも そんなのどうでもよくなってゆく。
――― トクン、トクン、と。
いやに響いて聞こえるのは、どっちの鼓動の音なのか。
居間のソファーで寄り添い合ってた。
頬を寄せて、耳を伏せているのは、
確かに進さんのお胸へだけれど。
あのあのね?
進さんのいい匂いがして、堅くて頼もしい胸板に、
引き寄せられてのくっついたその瞬間からは。
ボクの胸も忙しいほどドキドキしだしたから、
もしかせずとも、これってボクの鼓動の音かも。
「…かわ。小早川?」
あ、はははいっ。/////////
ついつい聞き入っていたもんだから、
呼ばれてるってことへ少し遅れて気がついて。
慌てて身体ごと、お胸を剥がすほどお顔を上げれば。
そこまで離れるとは思わなかったか、
少し驚いたような、
素のお顔になった進さんが見上げて来ていて。
「あ…。/////////」
どしよどしよ、大袈裟だったかなぁ。
狼狽うろたえかかったセナの髪、
大きな手のひらでそろりと撫でて、微笑ってくれる。
そのままセナのお顔の頬をくるんだ両手は、
耳のところまですべってゆくと、
何にも聞かないでということか、
横鬢の髪を掬い上げてのかけるついで、
セナの柔らかな耳朶をそぉっと塞いでしまうのだけれども。
「…えと。///////」
ああやっぱり、このドキドキはボクのだったみたい。
だってお耳は塞がれているのに、
やっぱり同んなじ“とくんとくん”が聞こえてる。
すぐ目の前には進さんのお顔。
深色の眸が据わった精悍な目許とか、
すんなりしたお鼻の峰とか。
頬骨の立った大人みたいなお顔の中、
浅い緋色の口許が柔らかくほころんだのへ。
誘われるみたいに ふにゃりと微笑えば、
「…。//////」
あれれえ? 進さんのお耳も赤くなる。
そのままそっと、引き寄せられて、
耳元へ寄せられた進さんのお口からこぼれたのは、あのね?
「…聞こえていたのか?」
………え?
あれれえ? 進さんも…もしかして?
「そっか、二人分だから。」
だから大きく聞こえてたんですようと、
お顔を がばりと上げての言えば、
たちまち目許を細めての、
ふんわり微笑い返してくれる人。
やがては体温も同じになって、
二人くうくう、午睡の中へ…。
〜Fine〜 07.7.09.
*突貫だからってこともないのですが、
ほわほわと温かいネタで書いてみました。
この蒸し暑い中、端迷惑なバカップルです、すいません。
人の話を聞かない進さんというお話もアリかなと思ったのですが、
せっかくのお誕生日にそれはなかろうということでvv
HAPPY BIRTHDAY! TO SEIJYUROU SHIN!
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